自分の感情をどうすればいいか分からなかった
それまでにはなかった
自分のなかに渦巻く表現しにくい、なにか。
それも自分の感情なんだと、気づけなかった。
どう扱っていいか分からなかった。
だから、見ないようにした。
✳︎ ✳︎ ✳︎ ✳︎
中学にあがるとそこでは
僕にとって全く不可解なルールが待ち受けていた。
先輩>後輩の上下関係。
同じ学年内でのヒエラルキー。
イジメ。
次第に学校に行くのが楽しくなくなっていった。
行かなければならないものに変わっていった。
義務感。
みんな行ってるから、行くしかない。
当時はそれ以外の選択肢が考えられなかった。
そういう状況では、
「苦しい」や「つらい」気持ちでいっぱいだったと思う。
今振り返ればそう思うけれど、
その時の僕は気づけなかった。
気づかなかったのか。
気持ちや感情をどうすればいいか分からなかった。
「つらい」気持ちがあったとして、
それをどう扱えばよかったのだろう?
大人になった今の自分でも悩むのに、
中学生の僕はなおのこと分からなかったと思うんだ。
それに加えて、
「苦しい」とか「つらい」みたいな気持ちを
抱くこと自体がいけないことのような空気があった。
弱い、情けない、男らしくない、ネガティブ、、、
それらはあってはいけない、と。
✳︎ ✳︎ ✳︎ ✳︎
中学生になって、
自分にとって苦痛になることがグンと増えた。
それは思ってもみなかった事態だった。
この事態のなかで、
自分のなかで急激に増えていった不快な気持ちを
僕はどうすればいいか分からなかった。
不快な気持ちを持つこと自体
いけないことのように感じていた。
それが自分の感情なのだと
認めることもできなかった。
だから、見ないようにした。
なかったことにした。
フタをした。
そうすることが
その時の僕ができる
精一杯の行動だった。
〜END〜