ぶらやまだ

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自分の大切なものを根こそぎ奪われたとき、どうやってそれを取り戻したらいいんだろう?原爆が落ちてから10年後の広島での物語。こうの史代さん『夕凪の街 桜の国』。

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自分の大切なものを
根こそぎ奪われたとき、
人はどうやってそれを
取り戻したらいいんだろう?

ひとり「閉じる」のではなく、
誰かに「開く」ことで見つかるのかもしれない。

ボクはこの作品を読んでそう思いました。

 

こうの史代さん作『夕凪の街 桜の国』。


こうの史代さん作
夕凪の街 桜の国』という漫画を知っていますか?
映画化もされた作品です。

舞台は原爆が落ちてから10年後の広島。

主人公のひとり平野皆美はこう語ります。

いまだにわけがわからないのだ

わかっているのは「死ねばいい」と
誰かに思われたということ
思われたのに生き延びているということ

そしていちばん怖いのは
あれ以来
本当にそう思われても仕方のない
人間に自分がなってしまったことに

自分で時々
気づいてしまうことだ
「夕凪の街」p16

 

10年経ても「いまだにわけがわからない」。


ある日突然、頭の上に爆弾が落ちてくる。

いや、爆弾ということさえ
分からないほどの瞬間的な破壊。

川にぎっしり浮いた死体、まん丸く膨れた集団、
腐ってないおばさんから下駄を盗んで履く、
死体を平気でまたいで歩く、、、。

なにが起きたのか?どうして私たちが?
その意味、理由、、、
全てがあまりにも理解を絶したところにある。

だから、10年経ても「いまだにわけがわからない」。

自分ひとりが忘れてしまえば済むことをあえて人に話すということ。

しあわせだと思うたび
美しいと思うたび

愛しかった都市のすべてを
人のすべてを思い出し

すべてを失った日に
引きずり戻される

お前の住む世界は
ここではないと
誰かの声がする
「夕凪の街」p25


自分だけが生き延びてしまったことへの罪悪感。

幸せや美しさを感じようとするその瞬間に
「あの日」が甦り「お前の住む世界ではない」と
誰かが言っているように主人公には聞こえてきてしまう。

ここでボクが注目するのは、
彼女にはそのように聞こえてくるということ。

平野皆美にだけ、平野皆美にしか声は届かない。
自分以外には聞こえていない。

だから、彼女は
「わたしが忘れてしまえばすんでしまう事だった」と、
ひとり封印しようとする。

だけど、思いとどまって、
自分に好意を寄せてくれていた男性のもとで、
誰にも言えずにいた「あの日」からのことを
話させてくださいとお願いする。

 

ひとり「閉じる」のではなく、誰かに「開く」ことで見つかるのかもしれない。


主人公は封印して「閉じる」のではなく、
誰かに話して「開く」ことを決めた。

ボクの最大の関心はここでした。
そう覚悟できたのはどうしてなんだろう?って。

、、、おそらく、2つあるのかなと思うんです。

ひとつは、「声が聞こえてきた」ことで
自分だけ生き延びたことの意味を
ずっとずっと求め続けてきたから。

もうひとつは、誰にも言えずにいたことを
「この人なら話せる」と思える相手が現れたから。



自分の大切なものを
根こそぎ奪われたとき、
人はどうやってそれを
取り戻していくのか?

主人公がそうしたように
ひとり「閉じる」のではなく、
誰かに「開く」ことで見つかるのかもしれない。

読んでみてボクはそう思いました。


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