ぶらやまだ

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名作は何度でもおいしい。そのときの自分が関心があるところを本を通して味わっているのかも。中島敦『山月記』

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「あ、これ読みたかったんだよぉ!!」

と思って、それ目当てではなかったのに、

ついつい買ってしまったのが

中島敦の『山月記』。

 

高校のときの現代文の教科書に載っていて、

授業で作者が一番言いたいことを抜き出しなさい、

という課題が出たときに

自分で選んだ一節をなぜだかずっと覚えていて。

そのときのことが鮮明に思い起こされてきて、

つい手が伸びてしまったという。

honto.jp

自分の置かれた現状に耐え切れなくなり、発狂して、虎に姿を変えた元天才のはなし。

改めて読んでみてビックリしたのは、この物語の短さ。

文庫本サイズで20ページしかなくて

30分もかからずに読めてしまったことに驚いた。

教科書で読んだ当時は長い長いお話しの一部を抜粋したものだと

すっかり思っていたのですよ。

 

物語をめっちゃ簡単に言うと、

自他ともに認める天才青年がオレ様は歌で天下とったるって言って、

山に籠るんだけど、うまくいかず、泣く泣く下っ端役人にならざるをえなくて。

でも、それに耐え切れなくなって、うわーって発狂して、虎になっちゃって、

一年後、虎になった彼と昔の親友が道でバッタリ!

さあ、どうなる、、、

 

強烈な叫びの力強さにふるえる。

で、授業の課題に対してボクが抜き出した一節というのは

作の巧拙は知らず、とにかく、産を破り心を狂わせてまで自分が生涯それに執着したところのものを、一部なりとも後代に伝えないでは、死んでも死に切れないのだ。(『李陵・山月記』角川文庫クラシックス p122)

いや〜、今読んでもかっくいいッス。

「死んでも死に切れない」ってところは特に強烈な叫びですね。

少年ジャンプのマンガに効果音つきのセリフで

出てきてもおかしくないほど。

 

バカな自分に気づき、認める主人公の哀しさにもっとふるえる。

確かに先の一節のよさはもちろんのことで、

ただ改めて読んでみてこんなことも書いてあったんだなと思ったのが

(…)口先ばかりの警句を弄しながら、事実は才能の不足を暴露するかもしれないとの卑怯な危惧と、刻苦を厭う怠惰とがおれのすべてだったのだ。(同 p124)

うわあ。なんか年齢を重ねた今ならなんかちょっと分かってしまう。

 

哀しすぎるのはせっかく自分で気づいて認めるところまできたっていうのに、

もう人間には戻れなくて、やり直すこともできないってところが

あまりにむごい、むごすぎる。。。

 

名作は何度でもおいしい。

高校生に読んだときと

それから10年以上経ってから読んでみた今とで

心打たれる場面って違うんだなあ。

というか、そのときの自分が関心があるところを

本を通して味わっているのかもしれないなって

思ったりもしました。

名作は何度でもおいしい。

 

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