ぶらやまだ

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メッシになれなかった選手たちのその後の物語『カンプノウの灯火 メッシになれなかった少年たち』

スペインのサッカーチーム、FCバルセロナ。人気・実力ともに世界でも5本の指に入るであろうメガクラブ。このサッカークラブのスーパーエースといえば、リオネル・メッシ選手。世界中のサッカー選手のなかで年間で最も活躍したプレイヤーに贈られるFIFAバロンドール。この賞を5度も獲得。これだけでもこの選手の偉大さの一端が垣間見えるのではないだろうか。

 

FCバルセロナ、ひいてはサッカー界全体のスーパースター、メッシ。そんな彼を超える選手がかつてバルセロナの下部組織にいた。メッシを超える逸材、29試合で97得点を決めた、将来バルセロナを背負うと確実視されていたストライカー、彼の名はディオン・メンディ。

 

ぼくはここまで読んで、次のページをめくらずにはいられなかった。

 

 

 

豊福晋著『カンプノウの灯火 メッシになれなかった少年たち』。

カンプノウの灯火 メッシになれなかった少年たち

カンプノウの灯火 メッシになれなかった少年たち

 

仕事の関係で、この本の存在を知って、ちょっと読んでみたらあっという間に引き込まれてしまった。サッカーは好きだけど、サッカーに関する読み物ってあんまり手を出したことがない。でもこれは読み始めたら止まらなかった。スーパースター、メッシについてではなく、メッシとともに下部組織でプレーしていた選手のその後を辿る物語。この切り口がおもしろいなあと思ったから。

 

まずはじめに驚かされたのは冒頭にも書いたように、メッシ以上に結果を残していた選手たちがいたということ。下部組織時代、メッシはその頃から別格の巧さを発揮していたという。けれど、メッシ同等、いやそれ以上にゴールを量産していたストライカーや華麗なパスをチームに供給していた天才肌のプレーメーカーがいたんだそうだ。

 

それでも、彼らはプロとして活躍できず、メッシはバルセロナの押しも押されもせぬスター選手に。なにが彼らを分けたのだろう。そこに興味が湧いた。

メッシになれなかった彼らがサッカーから身を引いた「その後」を著者自らコンタクトをとり、インタビューしていく様子が文面から生々しく伝わってくる。ひとつ分かるのはメッシのようになれなかったからといって、決してその後の人生が惨めだったり、不幸だというわけではないということ。

 

メッシを超える少年の他にも、FCバルセロナのサッカースタイルの礎を築いた「思想家」ヨハン・クライフの存在。選手寮マシアを含む下部組織(カンテラ)の実態。サッカー選手の多くが抱えるうつ病の問題。ヨーロッパ全体の移民、人種、宗教にまつわる問題。カタルーニャ州(バルセロナを州都するスペイン北東部の地域)の独立運動。などなど。

 

サッカーという、いわゆるフィールド内だけの要素にとどまらず、サッカー選手のキャリアについて、国・地域の問題、メンタル・精神疾患にも及び、それだけこのサッカーというスポーツが、またバルセロナというクラブの大きさがテーマの裾野を広げているんだろうなということを感じた一冊だった。

 

※ちなみに本のタイトルにある「カンプノウ」とは、FCバルセロナのホームスタジアムの名称(和訳すると、新競技場という意味)。また、FCバルセロナ全体を意味する比喩としても使われたりします。

 

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仙台でイラストも描けるデザイナーとして活動しています。

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